保温器具の電気代の計算式
パネルヒーター・暖突・保温球・水槽ヒーターなど、保温器具の電気代はどれも同じ式で計算できます。
W数は、本体のラベルや取扱説明書の「定格消費電力」に書かれています。サーモスタットにつないでいる器具は、設定温度に届くと電気が切れるため、24時間のうち実際に点いている割合をかけます。この割合は部屋の温度やケージの大きさで変わるので、正確に知るには測るしかありません(測り方は後半で紹介します)。
W数別の早見表:1か月いくら?
東京電力の従量電灯Bで、2026年11月分の単価を使って試算しました。家全体の使用量が月120〜300kWhの家庭は左の列、300kWhを超える家庭は右の列が目安です。
| 器具の例と使い方 | 1か月のkWh | 120〜300kWhの家庭 | 300kWh超の家庭 |
|---|---|---|---|
| 8Wのパネルヒーター・24時間 | 5.76kWh | 203円 | 227円 |
| 15Wのパネルヒーター・24時間 | 10.8kWh | 381円 | 425円 |
| 32Wのヒーター・24時間 | 23.04kWh | 813円 | 908円 |
| 32Wのヒーター・サーモで6割点灯 | 13.82kWh | 488円 | 545円 |
| 60Wのヒーター・サーモで6割点灯 | 25.92kWh | 915円 | 1,021円 |
| 100Wの保温球・サーモで5割点灯 | 36kWh | 1,271円 | 1,418円 |
| 100Wの保温球・24時間 | 72kWh | 2,542円 | 2,836円 |
| 100Wの水槽ヒーター・サーモで3割点灯 | 21.6kWh | 762円 | 851円 |
| 26Wの紫外線ライト・12時間 | 9.36kWh | 330円 | 369円 |
| 75Wのバスキングライト・12時間 | 27kWh | 953円 | 1,064円 |
※単価は、電力量料金(120〜300kWh:36.45円、300kWh超:40.54円)に燃料費調整単価(▲5.33円)と再生可能エネルギー発電促進賦課金(4.18円)を足した35.30円・39.39円/kWhです(いずれも2026年11月1日以降・税込)。点灯の割合は計算の例で、実際の割合は器具・ケージ・部屋の温度で変わります。燃料費調整単価は毎月変わります。
ケージが複数ある場合は、器具ごとの金額を足します。たとえば、32Wのパネルヒーター(24時間)と100Wの保温球(5割点灯)と26Wの紫外線ライト(12時間)を使うケージが1つなら、300kWh超の家庭で月2,695円です。同じ構成のケージが3つあれば、月8,000円を超えます。
リクガメ・フトアゴヒゲトカゲ・イグアナ・レオパ(ヒョウモントカゲモドキ)など、種類によって使う器具は違いますが、電気代を決めるのは種類ではなく器具のW数と点灯時間です。保温球やバスキングライトのようにW数の大きい器具を使うほど、電気代は大きくなります。自分の器具で計算してください。
増えた分は「いちばん高い単価」で請求される
家電の電気代は、全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価(31円/kWh)で計算されていることがよくあります。比べるための基準としては便利ですが、冬に保温の電気が増える家庭の請求とは合いにくくなります。
東京電力の従量電灯Bは、使った量が多いほど単価が上がる3段階の料金です。保温器具を足すと、増えた分はその家の使用量のいちばん上の段階に乗ります。
| 1か月の使用量 | 1kWhあたり | 31円との差 |
|---|---|---|
| 最初の120kWhまで | 28.70円 | −2.30円 |
| 120kWhを超え300kWhまで | 35.30円 | +4.30円 |
| 300kWhを超える分 | 39.39円 | +8.39円 |
冬は人の暖房でも使用量が増えます。家族の暖房と保温器具を合わせて月300kWhを超えると、保温器具の電気は1kWhあたり39.39円で請求されます。31円で計算した場合より、2割以上高くなります。
部屋ごとエアコンで保温する場合
大型の種類やケージの数が多い場合は、飼育部屋ごとエアコンで温めることがあります。エアコンは外の気温や部屋の断熱で消費電力が大きく変わるため、W数から計算するより実際に測るのが確実です。ここでは、仮に1か月の平均で300Wを使ったとして計算します。
| 計算 | 使用量 | 電気代 |
|---|---|---|
| エアコンで増える使用量 | 300W×24時間×30日=216kWh | — |
| 260→300kWhの40kWh分 | 35.30円/kWh | 1,412円 |
| 300kWhを超える176kWh分 | 39.39円/kWh | 6,933円 |
| 合計の値上がり | 216kWh | 8,345円 |
| (参考)31円/kWhで計算した場合 | 216kWh | 6,696円 |
31円で計算した場合より、月1,649円高くなります。家全体の使用量が増えるほど、基本料金ではなく電力量料金の差が効いてきます。
自分の家の電気代を確かめる2つの方法
- 1
ワットチェッカーで器具ごとに測る
コンセントと器具のあいだに挿し、積算の使用量(kWh)を見られる機器です。サーモにつないだ器具は、サーモごとワットチェッカーに挿し、寒い日を含めて丸1日〜1週間測ります。1日の使用量×30が1か月のkWhです。
落とし穴 エアコンなど200Vの機器や、コンセントにつながない機器は測れません。その場合は次の方法で確かめます。
- 2
Web明細の時間ごとの使用量を見る
スマートメーターが付いている家庭は、契約先の電力会社のWeb明細で、時間ごとの使用量を見られることがあります。家族が寝ている深夜の使用量は、冷蔵庫と保温器具が大部分です。保温器具を使い始める前の月の深夜と比べると、保温でどれだけ増えたかの見当がつきます。
- 3
検針票の使用量と段階を確かめる
1か月の使用量が300kWhを超えているかを確かめます。超えていれば、増えた分は39.39円/kWh(東京電力・従量電灯B・2026年11月分)で計算します。前の年の同じ月と比べるときは、気温の違いでも使用量が変わる点に注意しましょう。
電気代を下げる見直し
| 見直し | 効き方 | 注意点 |
|---|---|---|
| ケージの断熱 | サーモの点灯時間が減った分だけ下がる | 換気と温度ムラ。効果はワットチェッカーで前後を比べる |
| 器具の組み合わせを見直す | W数×点灯時間が小さくなった分だけ下がる | 必要な温度・紫外線は種類ごとの飼育情報で確認する |
| 料金プラン・電力会社を比べる | 保温は昼も夜も使うため、時間帯で単価が変わるプランは向き不向きがある | 市場連動型は冬に単価が上がることがある。燃料費調整の上限の有無も確認 |
| 契約アンペアを見直す | 10A下げると基本料金が月392円06銭下がる(東京電力・従量電灯B) | エアコンと保温器具を同時に使うとブレーカーが落ちやすくなる。保温が止まらない余裕を残す |
温室・保温室で電気代はどれだけ変わる?
温室や保温室にケージをまとめると、熱が逃げる面が減るため、同じ温度を保つのに必要な電気が減ることがあります。電気代は「点いている時間の割合」に比例するので、たとえば100Wの保温球の点灯が5割から3割に減れば、1か月36kWhから21.6kWhになり、300kWh超の家庭では月1,418円が851円になります。
ただし、温室の中をヒーターで温める場合は、そのヒーターの電気代が加わります。作る前と作った後でワットチェッカーの値を比べ、合計で減っているかを確かめましょう。
停電のときに保温を続けるには
冬の停電で保温が止まると、電気代より大きな問題になります。停電のときに保温器具を動かすには、ポータブル電源か家庭用の蓄電池が必要です。どちらも「容量(Wh)÷ 器具のW数」でおおよその使える時間がわかります。たとえば32Wのパネルヒーターだけなら、500Whの電源で計算上は15時間ほどです(実際には変換のロスがあり、これより短くなります)。
家庭用の蓄電池は、停電のときに家の一部の回路だけに電気を送る「特定負荷型」と、家全体に送る「全負荷型」があります。飼育部屋のコンセントやエアコンが停電のときに使えるかは、どの回路につながっているかで決まるので、見積の段階で確認してください。
東京都では、太陽光がなくても条件つきで蓄電池の補助金を使えます。金額と条件は「東京都の蓄電池補助金:太陽光なしでも使える?」にまとめています。